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ねこの嘘

結構毛だらけ

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夜、更けて、数寄屋造の旅館に女が三人いる
部屋出しの料理の金目鯛は肉厚で優しい味であった
平らげて平らげて
よはふける
二度目のぬる湯は塩っぱいナトリウム
ぼんやりとした将来について笑いあっている
ついて出る本音はこもった湯船にひびいて気持ちがいいと

風呂上がりの浴衣が肌蹴て恥じらいのいらない女同士の旅は終わりに近づきながらも
それでもわたし今一番幸せなんだよね
と背の高い女から発せられた一言は説得力があり
その腹の中には350グラムほどの新たなる生き物がいて、まだ聴覚の無いその細胞分裂の塊が日に増す幸せの証ならば彼女はこれから訪れる干ばつや大嵐にも揺るぎなく立ち向かい
同時に柳のような嫋やかさを身につけて行くだろうな

川の字に三名、ごろんと横たわって


無常を噛み締めながら笑っている熱海の夜
知らないうちに、誰かが青空を口ずさんでおり
春はもうそこまで来ている
どんな夢をみるだろうか

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